業務内容
電源開発株式会社(以下J-POWER)は、1952年に戦後の電気不足を補うために設立された元国営企業です。
大規模なダムなど、全国各地に発電所を建設して日本の経済成長に貢献してきました。
その後2004年に東京証券取引所に上場し、完全民営化を果たしました。
今ではエネルギーを取り巻く環境の変化を捉え、国内外で様々な事業を展開しています。
2021年3月時点で国内で運営している発電所の発電設備出力は1800万kW以上であり、国内電力会社で6番目の大きさです。
北は北海道から南は沖縄まで、国内では約100か所の発電所で、水力・風力・地熱・バイオマス・石炭火力と様々なエネルギーを活用して発電しています。
海外でも30プロジェクト以上に参画、600kW以上発電しており、海外展開にも積極的な企業です。
J-POWERは他の電力会社と違い、発電所で作った電気を各地域の電力会社や日本卸電力取引所、新電力等に販売しています。
自社でも小売り販売会社は保有していますが、上記の電力卸売りが売上の主体です。
2008年に初の原子力発電所を青森県大間で着工しましたが、福島原発事故を受け工事が中断、工事が再開されず足を引っ張っている状況です。
また、政府の脱炭素化方針でCO2の大幅削減が急務になり、老朽した石炭火力発電所を休止すると同時に、再生可能エネルギーや水素・アンモニア等を活用した次世代型の発電所へ重点的に投資しています。
J-POWERの発電所毎の発電比率は火力発電が6割近くを占めており、どれだけ他の発電比率を上げていけるがが今後のカギになりそうです。
J-POWERの株価チャート
右肩下がりが続いています。
大間原発問題と世界的な脱炭素化の流れから大きく評価を落としているようです。
出典: Yahoo Finance
J-POWERの売上と利益の推移
売上は意外にも右肩上がりで、上昇しています。
売り上げに比べ、営業利益が伸びていないのが気がかりです。
原料高や発電所の修繕費の増加とのことですが、今後上昇していくのかが今一見えてきません。
出典:電源開発株式会社 HP
J-POWERの自己資本・自己資本比率
自己資本は毎年着実に増えており、自己資本比率は30%弱を確保しています。
電力会社は高額な発電設備を建設する必要があるため、ある程度の借り入れは仕方なく、十分な自己資本比率であると言えます。
出典:電源開発株式会社 HP
J-POWERの配当推移
J-POWERの配当は1株あたり75円となっています。
現時点での株価(2021年11月17日始値)、1415円を基準にすると、配当利回りは5.3%です。
かなり高利回りです。
株価の下落とは裏腹に配当は維持されており、高配当狙いの投資なら有りかもしれません。
出典:電源開発株式会社 HP
まとめ
各地で発電した電気の電力卸が主力のJ-POWERについて分析してみました。
戦後の電力不足を補うために設立された経緯もあり、全国各地に様々な発電所を保有しているのが強みです。
また、近年は海外進出も積極的であり、業績の拡大が期待されます。
青森県大間の原子力発電所問題の解決、火力発電所から再生可能エネルギーや次世代型の発電所への移行がスムーズに進むかが今後のカギです。
再生可能エネルギーの専業企業が大きく評価される昨今、上記の問題に解決の目途がつけば、J-POWERが再評価される日も近いかもしれませんね。
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